老犬の冬ケア|寒さ対策しても暑がるときの工夫
冬が来るたび、老犬の寒さ対策に気を配る日々が始まります。
けれど、暖房をつけても毛布をかけても、気づけば床に移動している。
部屋を暖めたはずなのに、なぜか暑がるような仕草を見せる。
そんな愛犬の様子に、どうしてあげたらいいのか悩んだことはないでしょうか。
この記事では、老犬が冬でも暑がるときに
私が実際に行った工夫を、けんしとの暮らしを通してお伝えします。
老犬が冬でも暑がる理由
老犬は、私たちが思う以上に体温調節が難しくなっています。
若い頃は寒ければ体を丸め、暑ければ涼しい場所へ移動していました。
けれど年を重ねると、その判断が鈍くなったり、体の感覚そのものが変わってきたりします。
老犬になると、筋肉量や活動量の低下により基礎代謝がゆるやかに下がっていくといわれています。そのため、身体が冷えやすくなることもあれば、反対に環境や体質によっては体温調整がうまくいかずに、暑がりやすくなる場合もあります。
特に、被毛がふさふさした犬種や、暖房のきいた室内で過ごす時間が長い場合には、気温が快適でも「体が熱を逃しにくい」と感じることもあるようです。
ただし、体温の感じ方や調整のしやすさには個体差があるため、日々の様子をよく観察しながら、室温や被毛の状態に配慮してあげることが大切です。
冬だから寒いだろうと思い込んで対策をしすぎると、かえって不快にさせてしまうこともある。それが、老犬の冬における難しさでした。
実際に行った寒さ対策と暑がるときの工夫
けんしは13歳のポメラニアンで、冬になると寒がる日と暑がる日がありました。
その様子を見ながら、少しずつ調整していった工夫をいくつかご紹介します。

夜間は腹巻きで体の中心を温める
夜は冷え込むので、けんしには腹巻きをつけています。
お腹周りだけを優しく包むことで、体の中心部は温まりつつ、顔や足先は自由に涼むことができます。
暑くなったら自分で脱げる素材や、ゆるめのサイズを選ぶと、犬も嫌がりにくいように感じました。
掛け物は、はがない程度の軽さに
夜寝るときは、フリース素材の薄い毛布をふわりとかけていました。
重たいものではなく、犬が少し動けばすぐにずれるくらいの軽さです。
暑がるときは自然にはがして、床や壁際に移動していました。
それでいいのだと、今は思います。
昼間は過度な暖房を避けて掛け物で調整
日中は暖房を強くしすぎず、ベッドの上に軽い毛布やひざ掛けを置いておきました。
けんしは寒ければその中に入り、暑ければ出てくる。
自分で選べる環境を残しておくことが、何より安心につながったように思います。
床に寝始めたら換気をする
ある日、けんしがいつものベッドを離れて、冷たいフローリングで寝始めました。
それが「暑い」のサインだと気づいてからは、窓を少し開けて
空気を入れ替えるようにしました。
ほんの数分でも、部屋の空気が動くだけで落ち着く様子が見られました。
≫≫ 老犬の水分ケアについて、無理なく続けられる小さな工夫を書きました
飼い主として感じた心の動き
最初の冬は、寒がらせてはいけないと思い込んでいました。
暖房をつけて、毛布を重ねて、それでも床に移動するけんしを見て
何が正解なのか分からなくなったこともあります。
でも、ある夜。
けんしが腹巻きだけをつけて、薄い毛布の端に体を預けて、静かに眠る姿を見たとき、ふと思いました。
ああ、この子は自分で選んでいるのだと。
寒すぎても暑すぎてもない、ちょうどいい温度を探している。そのために動いている。
私がすべきことは、無理に温めることではなく、選べる環境を残しておくことだったのだと気づきました。
今だから言える気づきとまとめ

老犬の冬は、寒さ対策をしっかりしながらも、暑がるサインを見逃さないことが大切です。
腹巻きや軽い掛け物、そして換気。どれも特別なことではありません。
けれど、犬が自分で選べる余白を残しておくことが、何よりの優しさだと感じています。
完璧な室温も、完璧な対策も、きっとありません。
その日の体調や気温に合わせて、少しずつ調整していく。
それでいいのだと、けんしが教えてくれました。
冬を一緒に過ごす日々が、どうか穏やかでありますように。

