老犬がご飯を食べないときに試したこと|食べてくれる工夫と私の実体験

フードボウルの前で老犬がこちらを見る

老犬がご飯を食べないとき、どうしたらいいのか分からなくなることがあります。体調の変化なのか、気分なのか。心配で胸がざわつきます。
私の愛犬・けんしにも、そんな時期がありました。膵炎の前や退院直後、元気はあるのに、ご飯を口にしなくなったのです。

食べてくれることをいちばんに

その頃の私は「食べること」そのものを最優先にしていました。栄養バランスよりも、とにかく、食べてくれることが大切。そう思えたのは、けんしの穏やかな性格を信じていたからです。
好きな茹でささみを混ぜたり、ささみの茹で汁でフードをふやかしたり。刻んだ茹で野菜を少し加えて、香りや彩りを変える日もありました。
入院中に病院で出ていた缶詰を聞いて、同じものを用意したこともあります。


それでも普段ほど食べない日が続きましたが、「今日はこれだけ食べてくれた」と思うようにして、焦らずに見守りました。時間を決めず、けんしが食べたそうにしたときに、少しずつ出すようにしていました。家族の食事中にお皿をのぞいてきたときが、いちばんのチャンスでした。

先代犬が教えてくれた「食べる」意味

実家にいた先代犬は、とてもグルメでした。母が甘やかしていたこともあり、ローストビーフや特定の缶詰しか口にしませんでした。茹でて刻んだ野菜を混ぜれば少し食べる、そんな日々。
当時は情報も少なく、ソフトクリームを与えてしまうこともありました。それでも体重は、けんしほど増えず、細身のままでした。

だからこそ、けんしが茹でただけの野菜を、おやつのように喜んで食べる姿を見ると「食べてくれる」ということの尊さをしみじみ感じます。あの頃の経験があったから、今の私は「食べない日も悪くない」と思えるようになりました。

食べない日も、その子のリズムで

老犬がご飯を食べないとき、それは心配のサインでもあり、ただの小休止でもあるかもしれません。焦って食べさせようとするより、「今日はこれくらいでもいい」と、まずは見守る方が、犬にとっても飼い主にとってもやさしいのかも。

けんしが、再びお皿に顔を近づけた日のことを、今でも覚えています。ほんの一口食べてくれただけで、涙が出そうになるほど嬉しかった。

老犬の食事には、正解がありません。でも、その子が今日、食べたいと思える工夫を重ねること。それがいちばんの愛情であり、いちばんの支えなのだと思います。