老犬介護と仕事、辞める前に試したこと ── 13歳のけんしと私の選択
けんしが入院した日、母として決めたこと
けんしが12歳になった春、 入院することになりました。
ある日突然、というわけではありませんでした。
散歩の距離が短くなって、 ごはんを残すことが増えて、 立ち上がるのに時間がかかるようになって。
獣医師から 「数日、入院させましょう」 と言われたとき、 涙が止まりませんでした。
一週間、仕事帰りに病院へ通いました。
面会時間ギリギリまでいて、 「ママ、またすぐ来るからね」 そう言って帰る日々が、 どれだけつらかったか。
退院の日、獣医師から言われました。
「しばらくは目を離さない方がいいですね。 できれば、そばにいてあげてください」
その言葉を聞いて、 心が決まりました。
落ち着くまで、 けんしのそばにいてあげたい。
仕事を辞めることも、 頭をよぎりました。
在宅勤務を、自分で選んだ
幸い、会社には在宅勤務の制度がありました。
これまでも週に1〜2日は、 在宅で仕事をしていました。
けんしが退院してから、 私は週3日、在宅勤務に切り替えました。
それが、どれだけ助けになったか。
在宅勤務は、 楽というわけではありません。むしろ、大変なこともあります。
パソコンに向かっている横で、 けんしが吐いてしまう。
会議の途中で、 けんしが苦しそうに鳴く。
仕事と介護が、 同時に押し寄せてくる感覚。
でも、それでも。
見守れる安心感が、大きい。
すぐそばにいられること。 何かあったら、すぐに駆けつけられること。
その安心感は、 何にも代えがたいものでした。
家族と、交代で見守る日々

そう感じていたのは、私だけではありませんでした。
家族が、協力してくれました。
私が出社する日、 家族がけんしを見てくれました。
仕事や学校の合間を縫って、 交代で様子を確認してくれました。
「今日は少し元気だよ」 「さっき少し吐いちゃった」
そんなLINEが、 仕事中の不安を和らげてくれました。
夜は、私の担当。 けんしのそばで寝て、 呼吸を確認しながら過ごしました。
それでもどうしても、全員が外に出る時間帯がありました。
見守りカメラを導入して、 スマホで確認できるようにしました。
休憩時間に画面を開くと、 静かに寝ているけんし。
それを見るだけで、 ホッとしました。
定期的に吐く日、食欲が落ちる日
けんしの体調は、日によって全然違います。
昨日は元気そうだったのに、 今朝は水も飲まない。
昨日はごはんを完食したのに、 今朝は一口も食べない。
「大丈夫かな」 「もう一度病院に連れて行くべきかな」
毎日、その判断に迷います。
でも、かかりつけの獣医師は言いました。
「老犬の体調は、波があります。 様子を見ながら、無理をさせないこと。 吐いた後も元気なら、少し様子を見てもいいですよ」
スマホを見るたびに、 家族からの連絡がないか確認していました。
もしものことがあったら、後悔する
ある夜、考えました。
「もし、仕事中にけんしに何かあったら」
そう思うと、 胸が苦しくなりました。
後悔しても、遅い。
最期に間に合わなかったら、 母として、自分を許せないと思いました。
だから、決めました。
できるだけ、そばにいてあげよう。
仕事を完全に辞めることは、 経済的に難しい。
家族の生活もある。
でも、働き方を変えることはできる。
有給も時短も、以前より増えた
けんしの体調が悪い日、 私は有給を取るようになりました。
以前よりも、 ずっと多く。
時短勤務も、 活用するようになりました。
「これで大丈夫かな」 「周りに迷惑をかけているかな」
そんな不安もありました。
でも、決めました。
勤務中は、目一杯頑張る。
在宅でも出社でも、 仕事の時間は全力で集中する。
休む時は休む。 働く時は働く。
そのメリハリを、 自分に課しました。
朝、けんしの介護をして、 仕事を始める。
休憩時間に、 けんしの様子を確認する。
仕事が終わったら、 すぐにけんしのそばへ。
その繰り返し。
完璧ではないけれど、 今できる最善を、 毎日積み重ねています。
家族が同じ方向を向いていたから
今、こうして続けられているのは、 家族のおかげです。
家族が、 同じ方向を向いてくれているから。
「けんしのそばにいてあげたい」
その想いを、 家族全員が共有してくれました。
もし、理解されなかったら。 もし、協力してもらえなかったら
きっと、無理だったと思います。
老犬介護と仕事の両立は、 一人では難しい。
家族が、 同じ方向を向いているからこそ、なんとか私は頑張れています。
今も、迷いながら過ごしている
今、けんしの体調は、 なんとか落ち着いています。
でも、安心はできません。
昨日が良くても、 今日は吐くかもしれない。
今朝は食べても、 夕方は食べないかもしれない。
老犬の体調は、 本当に読めません。
仕事をしながら介護をすること。
それは、毎日が綱渡りのようです。
「このままでいいのかな」 「やっぱり辞めた方がいいのかな」
今も、迷いは消えません。
でもひとつだけ、 わかったことがあります。
辞めるという選択も、 続けるという選択も、 どちらも間違いじゃない。
大切なのは、 自分と家族と愛犬にとって、 今できる最善を選ぶこと。
もし、あなたが今、悩んでいるなら

老犬介護と仕事の両立
それは、本当に難しい選択です。
私も、まだ答えは出ていません。
でも、試してみてよかったことがあります。
少しでも、 同じように悩んでいる方の、 ヒントになればと思います。
ヒント① 会社の制度を、確認してみる
在宅勤務、時短勤務、有給休暇
あなたの会社にも、 使える制度があるかもしれません。
「こんなことでは使えない」
そう思わずに、 一度確認してみてください。
ヒント② 家族と、話し合ってみる
一人で抱え込まないでください。
家族に、 正直に話してみてください。
「つらい」 「助けてほしい」 「一緒に見守ってほしい」
その言葉が、 何かを変えるかもしれません。
きっと道は開けます。
ヒント③ 完璧を、手放してみる
仕事も介護も、 完璧にはできません。
でも、それでいいんです。
勤務中は全力で働く。 休む時は休む。 そばにいられる時は、そばにいる。
できる範囲で、 できることを。
その積み重ねが、 あなたの最善になります。
焦らなくていい。
できる範囲で、 愛犬のそばにいてあげてください。
それが、きっと、 あなたにとっても、 愛犬にとっても、 最善の選択になるはずです。
関連する記事
老犬介護と心のケアについて、 こちらの記事も読んでみてください。
→ 老犬の夜間の介護が辛い時
→ 留守番が不安なとき試した工夫 ── けんしの居場所づくり
→ 老犬介護で必要な準備とは?我が家の13歳老犬と暮らして感じたこと
あなたと愛犬の時間が、 少しでも穏やかなものになりますように。

