覚悟の先にある、穏やかな幸せ

この数年で、けんしは二度の入院を経験した。
どちらのときも、医師から「覚悟してください」と言われた。
一度は、夜間に病院から呼び出され、
胸の奥が冷たくなるような時間を過ごしたこともある。
今は症状も落ち着き、穏やかな日々を取り戻している。
けれど、年齢のことも、病気のことも、
心のどこかでいつも「その時」を意識しながら生きている。
それでも
ごはんの時間に大騒ぎして喜んでくれる姿、
抱っこをせがむ小さな手、
リラックスして、のびのびと眠る姿を見るたびに、
胸の奥から「生きてくれてありがとう」という気持ちが湧いてくる。
けんしの顔に自分の顔を寄せて、
スリスリと頬をくっつける時間は、私にとっての至福だ。
このぬくもりを感じながら、
私はいつも「この子の母になれてよかった」と心から思う。
今日も一緒にいられること。
それだけで、十分に幸せだと感じている。
けんし、いつもありがとう。

