犬の腸炎の原因は小さな変化の中に:呼吸数と排便の気づき
気づきにくい体調の変化
老犬と暮らしていると、穏やかな時間が増える一方で
「これで大丈夫なのだろうか」という不安も感じることが多くなります。
いつもと違う場所で寝ていたり、食欲が少し落ちていたり
排便の様子が昨日と違ったり。
そんな小さな違和感に気づけるのは
毎日一緒に過ごしている飼い主だけです。
「いつものことかな」と見過ごしてしまいそうなサインの裏に
愛犬からのSOSが隠れていることがあります。
今回は、私たち家族が
愛犬けんし(ポメラニアン・13歳)の異変を呼吸数から発見し
腸炎だったことがわかった経験をお伝えします。
突然の呼吸数の上昇
いつもと違う朝
けんしは心臓に持病があるため
毎日の睡眠時呼吸数を測ることが習慣になっています。
いつもの朝は、14〜22回程度で安定しているのですが
ある朝測ったところ、40回以上もありました。
「心臓が悪化したのでは」と一瞬で不安に襲われました。
振り返ってみると、その2週間ほど前から
食欲がわずかに落ちていて
排便も少しだけ、いつもと違う状態が続いていました。
ほんの小さな違いで、毎日記録していないと見過ごしてしまうほどの変化でした。
予想外の診断
すぐに動物病院へ連れて行き、心臓の検査を受けました。
すると驚いたことに、心臓の状態は過去最良という診断でした。
では、なぜ呼吸数が急に増えたのか。
「腸の動きがかなり悪い」
という予想外の診断が下されました。
腸炎の原因は食べ物、ストレス、加齢による免疫力の低下など様々ですが
けんしの場合は、腸炎の痛みから
呼吸が荒くなっていた可能性があるとのことでした。
心臓のことばかり気にしていた私たちにとって
腸炎が呼吸という別の形でサインを出すという事実は、大きな学びになりました。
回復までの道のり

抗生剤と整腸剤をもらい
食事も以前便秘のときに効果があった療法食(バイオーム)に切り替えました。
最初の2日間は呼吸数が多いままで、夜中も落ち着かない様子でした。
寒いのに床を移動したり、寝床を何度も変えたりと
熟睡できていないのが見て取れました。
私たちも夜中に何度も起きて呼吸を確認し、不安な時間を過ごしました。
しかし、3日目くらいから
徐々に呼吸数が落ち着き始め、今ではすっかり改善しました。
この経験で改めて感じたのは、「小さな記録が命を救う」ということです。
毎日の呼吸数、食欲、排便の記録が
獣医師への具体的な情報提供となり、正確な診断につながりました。
≫≫老犬の体調を見守るアプリ記録|家族で共有して気づいた小さな変化
家庭でできる健康管理
毎日できる3つのチェック
1. 呼吸数を測る
睡眠時呼吸数は心臓だけでなく、全身の不調を映し出します。
毎日同じ時間に測ることで、いつもの基準値を知り
わずかな上昇も見逃さないようにします。
2. 便と食欲を記録する
便の色、硬さ、量、形(細い、ゆるいなど)
そして残した食事の量を手帳やアプリにメモします。
腸炎は排便の異常が、最も顕著なサインの一つです。
3. 撫でながら観察する
愛情を伝えるだけでなく、撫でるついでにお腹をそっと触ってみてください。
張りがないか、硬い部分はないか、嫌がる様子はないか。
日々の中で小さな変化に気づくことが、最も実用的なケアです。
腸を健康に保つ工夫
食事の見直し
腸を休ませるため、食物繊維や消化に良い食材を選ぶなど
獣医師と相談しながら、腸内環境を整える食事を試してみてください。
けんしの場合は、処方食のバイオームを
不調の際にメインにすることで安定しました。
体を温める
老犬は体温調節が苦手です。
寒い床に長時間いないか、寝床が冷えていないかを確認し
お腹周りが冷えないように腹巻きなどで包んであげるなど
体の内側から温かさが保てるよう気を配ります。
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一人じゃない

老犬との暮らしは、ときに孤独を感じるものです。
特に夜中、愛犬の不調を見つめているとき
「もっと早く気づけていたら」
「私の対応は正しいのだろうか」
と自分を責めてしまうかもしれません。
でも、焦らなくて大丈夫です。
あなたは今日まで愛犬のために記録をとり
小さな変化に心を揺らしている。
それこそが愛の証です。小さな一歩で十分です。
私たちがけんしと一緒に歩んでいるように
あなたも愛犬と、今この瞬間を一緒に歩いているのです。
この穏やかな日常は、必ず愛犬の心にも届いています。
まとめ
腸炎の原因は複雑ですが
そのサインは必ず日々の暮らしの中に隠れています。
呼吸数の測定、排便と食欲の記録という客観的なデータと
撫でることで感じる心の温度。
この二つが、愛犬のSOSに気づくための両輪です。
愛犬の小さな変化を丁寧にすくい上げること。
それが、私たち老犬の飼い主ができる
最も優しくて実用的なケアなのだと思います。
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