立ち止まる朝も、いっしょに歩く:老犬との散歩時間

朝の光の中で、けんしが立ち止まりました。
草の匂いを確かめるように、風のほうを見つめています。
13歳になった今は、歩く日もあれば
少しだけ外の空気を吸って帰る日もあります。
「老犬の散歩って、どのくらいがちょうどいいの?」
「立ち止まるのは、疲れてるの? それとも気分なの?」
今日は、そんな小さな疑問を感じている方へ
けんしと過ごす時間から見えた、老犬の散歩のリズムをお伝えします。
老犬が立ち止まる理由は「体」だけじゃない

シニア期になると、犬の散歩ペースは驚くほど変化します。
筋力が落ちたり、関節に違和感を覚えたり
あるいは、外の刺激に敏感になることもあります。
でも立ち止まるのは、必ずしも疲れたからではありません。
においを確かめたり、風の音を聞いたり、世界を感じている時間でもあるのです。
高齢期の犬は、関節・心臓など複数の健康リスクを抱える割合が高まるという報告があります。
別の調査では、シニア期の愛犬の飼い主の約2人に1人以上が『もっと早く対策すればよかった』と感じているという結果も出ています。
だからこそ、私たちができるのは「歩かせること」よりも、「見守ること」。
老犬の散歩には、その子の今を尊重するという優しさが必要なんだと思います。
散歩の回数と時間はその日の体調で決めていい
英国の動物福祉団体PDSAによると
老犬には「短く・こまめに・穏やかな運動」が最適だそうです。
長時間歩かせるよりも、その日の体調に合わせて少しずつ・定期的に、外の空気に触れることが大切とのこと。
我が家では「けんしの様子」を見て決めています。
夏は心臓への負担を考えて、日の出と同時に短時間。
涼しい季節は、昼の暖かい時間にのんびりと。
おしっこやうんちを済ませたら、すぐ抱っこする日もあれば、草むらのにおいを嗅ぎながら歩きたがる日もあります。
決めないというのが、いちばん自然なルールになりました。
ポイント:老犬の散歩は「距離」よりも「心地よさ」
立ち止まったときの対応は待つが基本
歩かなくなったからといって、すぐに抱っこしなくても大丈夫。
老犬にとって立ち止まる時間は、考える時間でもあります。
けんしも、ときどき空を見上げたり、ただ風を感じていたりします。
そんな時は「ゆっくりでいいよ」と声をかけるだけ。
ほんの数秒後、また一歩前に出ることもあります。
ただし、体調が悪そうなときや、息が荒いときは、すぐ抱っこに切り替えます。
その判断を迷ったら、その日の体温・食欲・呼吸のリズムも観察してみてください。
体調全体の変化が見えてきます。
我が家の散歩セットと愛用品

散歩には、いつも同じポシェットを使っています。
中には、ティッシュ、鍵、スマホ、そして「ぽいたくん」。
コストコでまとめ買いしたこの袋は
におい漏れがほとんどなくて本当に助かります。
手に持っていても気にならないので、短い散歩でも気持ちが軽くなります。
メモ:散歩中の荷物を減らすと、飼い主の心にも余裕が生まれます。 必要なものは「最小限+安心できるもの」だけで十分です。
散歩は生きるリズムをつくる時間
短くても、歩くことは筋肉と血流の維持に役立ちます。
それだけでなく、外の風や音、光に触れることで
脳が刺激され、気分も安定するといわれています。
けんしを見ていると、それはまるで小さな瞑想のようです。
歩く日も、立ち止まる日も、どちらも大切ないのちの時間。
老犬の散歩は、飼い主にとっても「心を整える習慣」なのかもしれません。
完璧じゃなくていい、今日の一歩を大切に
立ち止まってもいいし、歩かなくてもいい。
その日のけんしの表情を見て、風を感じながら歩けたら、それでいい。
散歩の時間は、生きている今を感じる時間。
明日もまた、少しの風と匂いをいっしょに楽しめたら、それが何よりの幸せです。

